「設計事務所」って高い?熊本の工務店が正直に語る「デザイン住宅」の費用と価値
熊本で「デザイン住宅」を建てたいあなたへ
そもそもデザイン住宅とは、外観、内装、空間構成など、住宅全体を一つのデザインコンセプトに基づいて設計した、他にはない注文住宅のことを指します。建築家やデザイナーの手によりプランニングされることも多く、施主の個性やライフスタイルを反映した、他にはない素晴らしさを持つ住宅が多いのが特徴です。
熊本でそのような住宅を建てるのでしたら、やはり真摯にデザインや建築と向き合っている建築家がいる設計事務所に設計を依頼するのが近道であると、過去のコラム「『設計事務所』って結局何をしてくれるの?熊本のデザイン住宅で失敗しないための徹底解説」「【住み心地を追求】熊本のデザイン住宅は『設計事務所』と『工務店』のタッグで最強になる!」でも解説しました。なぜなら設計事務所は、依頼主のライフスタイルや理想とするライフスタイルに合わせて、一から設計を行います。そのため、基本的な型がありそれを修正して依頼主の要望に近づけていくハウスメーカーや工務店とは異なり、世界に一つだけのコンセプトに基づいた住宅を建てることができるからです。
ただし、理想の注文住宅を建てるためには、デザインだけではなく費用の両立も重要です。家づくりは、具体的に何から始めれば良いのか悩むというのもよくあることです。
特にデザイン性の高い家に憧れる気持ちがありながらも、費用が心配であると考える人が多いのも事実。
そこで、デザイン住宅にかかる費用や設計費用とはどのようなものかについて理解を深めることが、家づくりをする上での第一歩となるでしょう。
この記事では、デザインと費用を両立させるためのポイントや、注文住宅にかかる費用の目安について解説していきます。
参考コラム:「設計事務所」って結局何をしてくれるの?熊本のデザイン住宅で失敗しないための徹底解説
参考コラム:【住み心地を追求】熊本のデザイン住宅は「設計事務所」と「工務店」のタッグで最強になる!
設計事務所に依頼する費用は割高なのかそうではないのか?
ここまで読んで、デザイン住宅を建てるときに、設計事務所の力を借りることが非常に有効であることは分かった。しかし、周囲には住宅メーカーで建てた人が多いし、設計事務所に依頼した人も知り合いにいないから、費用的に敷居が高くないかどうかもよくわからないという方は意外と多いかもしれません。
設計事務所は、ハウスメーカーのように広告費をたくさんかけて、ある程度規格化された住宅をたくさん建てるビジネスモデルとは全く違うので、どうしても少数派になりがちだからです。
設計事務所に依頼するのは割高なのかそうではないのか、この部分をひも解くために、次にハウスメーカーと設計事務所のお金の仕組みを順を追って見ていきます。
ハウスメーカーの広告宣伝費と建築家の設計料
・ハウスメーカーの場合
テレビ CM を目にすることが多く、名前を知っている会社もたくさんあることでしょう。また、立派な住宅展示場で営業さんが説明してくれることも多いですよね。
ハウスメーカーは広告宣伝費に多くの費用を割くビジネスモデルであり、建てる建物の費用の約30~50%が広告や営業にかかる経費だと言われています。これを言い換えると、支払ったお金の約 1/3 から 1/2 は、建築工事や住宅資材ではなく、営業やマーケティングにかかった費用ということです。
これは決して悪いことではなく、そういうビジネスモデルであるということです。ハウスメーカーは多額の広告宣伝費や営業費用が掛かる代わりに、規格商品をたくさん生産することによって部材などのコストを下げ、数多くの顧客に対して住宅を販売しています。
大量に住宅を建てるスケールメリットと、商品の規格を作ることで効率よく家づくりをできることがハウスメーカーの長所です。カタログにのっている商品が気に入れば、施主にとってはメリットが大きいといえるでしょう。
・設計事務所の場合
設計事務所に家づくりを頼む場合は、広告宣伝費や営業費用に対してではなく、建築家の設計に対してお金を払うことになります。設計事務所の家づくりは、設計料という部分だけを切り取ると、ハウスメーカーに比べて高い金額になります。
ハウスメーカーのように規格が決まっている「商品」をカタログを見て買うわけではなく、ゼロから建て主の希望に沿ったプランやデザインを考えていくため、建て主はその時間・作業・アイデアなどに対してお金を払うことになります。
このような建築家への設計料は建築価格の 10~20%ほどであることが多く、このパーセンテージは設計事務所によって違います。多くの設計事務所はハウスメーカーのようなマーケティングを行っていないため、この費用は建築家の実際の仕事に対してお金を支払っていることになります。
これに対して、ハウスメーカーは規格や商品がある程度決まっていることもあり、設計料はそこまで高くならない傾向にあります。
出典:タイテル「設計事務所」のすべてを徹底解剖特徴やメリットがまるわかり
出典:フリーダムな暮らし
ここから先は工務店が知る話
ハウスメーカーは金額が高いといわれますが、自社で施行部門を持っていないことが多く、だいたい下請け工務店が施工します。
そして実は、この下請工務店経費と実際の工務店の施工費は同じくらいになります。
だったら、一番お得なルートは工務店に依頼することじゃない?と思うかもしれませんが、一概に工務店がお得とは言えなかったりもします。
それはなぜか?といえば、やはり先述の通りビジネスモデルの問題です。ハウスメーカーは全国区で多くの家を建てるため、スケールメリットで材料のコストがかなり安くなります。一方で、工務店は年間に建てる棟数が少ないので、どうしても材料費などの工事原価は高くなるのです。
また、人気があったり注目されている工務店は社員数が多く、研修や広告に経費をかけていることも多いため、ハウスメーカーほどではないが、思ったほど安くならないというのも意外とよくあることです。
このことを踏まえると、設計事務所が入ったら、もっと住宅の費用が高額になるのでは?と思いますよね。
次に実際のところはどうなのかを解説します。
実際に設計事務所が入ると高くなるのか
実は工務店などの建設会社は、設計事務所の仕事を入札するとき、自社で設計から施工をする場合よりも低い金額でエントリーします。
なぜなら、設計事務所の仕事は自社の案件と違って
- 営業費
- 広告宣伝費
- 設計費
がかからず、経費が安く済むから。
この点は公共事業でも民間の住宅でも同じです。
そのため、設計事務所の報酬額は工事請負金額の10~20%といわれていますが、あまり高額な報酬額の事務所でなければ、家づくりを工務店に依頼したよりも少し金額が上がる程度の価格水準で依頼することができそうです。
参考:契約ウォッチ 入札とは?目的・種類・流れ・参加方法・入札談合に関する独占禁止法の規制などを分かりやすく解説!
最後に
ここまで見てきたように、ハウスメーカーと設計事務所のビジネスモデルは全く異なるものであり、ハウスメーカーは広告宣伝費や効率良く建てることができる住宅の大量生産に経費を使い、設計事務所は施主の希望を実現できる住宅のプランニングに時間とお金を使います。
これからデザイン住宅を建てたい人は、営業経費(によるスケール・メリット)にお金を払うよりも個別の設計作業(による自由なデザイン)に対してお金を払いたいと考える方が多いでしょう。
今回ご紹介した設計事務所に依頼する場合の費用の考え方を参考にしていただき、愛着のある家づくりに繋げていただけたら幸いです。