【熊本の家づくり】坪単価だけで選ばないで!設計事務所と建てる理想のマイホーム予算術
はじめに
注文住宅を建てることを検討し始めた方たちにとって、まずは何から調べたら良いのか迷うことはよくあることかもしれません。そんな中で、まずは予算感を掴むために坪単価を調べてみるというケースも多いことでしょう。
このコラムでは、「坪単価とは?」「何が坪単価に影響を与えているのか?」「坪単価はどの程度参考にできるのか?」「坪単価を比較するにあたってどのような注意点があるのか?」などの素朴な疑問を解消しつつ、マイホームを建てるにあたってどのように予算を立てていけばよいのかを解説していきたいと思います。
坪単価とは?
坪単価とは、家づくりを行うときにかかる1坪当たりの建築費用のことです。これは建物の建築費=本体価格を延べ床面積で割って出します。1坪は大体3.3平方メートルです。2階建てや3階建ての場合はすべてのフロアの床面積を含んで計算されます。
たとえば、本体価格が3,000万円で延床面積が40坪だとすると、坪単価は75万円と計算できます。
坪単価が高いほど施工にお金がかかっているということになるので、建物のグレードを確かめられる指標の一つとして見られたりもします。
なお、1つの目安として、住宅金融支援機構が公表している「フラット35利用者調査(2024年度)」のデータから、注文住宅の建設費を住宅面積で割った数値を基準として考えることができるでしょう。2024年度の注文住宅の建設費の平均は3932.1万円、住宅面積は118.5㎡(35.7坪)なので、2024年度の注文住宅の坪単価の平均は110.1万円となりますね。ただし、建物の構造や設備のグレードなどによって差が大きく出る場合もあるため、あくまでも参考として見ておくのがよいでしょう。
出典:住宅金融支援機構
「坪単価」に影響を与える要素とは?
・構造
一戸建て住宅の構造は大きく分けて、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3つに分けられます。一般的な傾向として、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に坪単価が高くなっていくことが多いです。
構造による住宅性能にもそれぞれ違いがあるので、坪単価だけでなく、その内容を考慮して検討することが重要です。
・設備類
また、坪単価は住宅設備のグレードの影響も受けます。当然といえば当然ですが、グレードが上がるほど、坪単価も上がっていきます。家づくりにおいては、希望をあげていくとどんな人でも予算をオーバーしそうになるものです。重要なのは予め希望する内容に優先順位をつけ、何にどれくらい予算をかけるのかを考えておくことが大切です。
・デザインや形状
同じ床面積であっても、建物の凹凸が多い形状であるほど外壁の材料費や足場を組み立てる工事費などが余分にかかため、建築費用が上がります。建物の外観はできるだけシンプルな方が、坪単価を抑えやすくなります。
・会社による違い
注文住宅を建てるにあたり、ハウスメーカーに依頼をするか、地元の工務店に依頼をするか、設計事務所に依頼をするかでも坪単価は変わります。これは過去コラムでも解説したようにビジネスモデルによる違いや、家づくりのやり方の違いが影響しています。
坪単価を考えるときの注意点
これまで見てきたように、坪単価はあくまでも費用の目安を知るという意味で、判断材料の一つにできます。
しかし、坪単価だけを判断材料にするのはおすすめしません。その理由について解説します。
・建物本体価格とその他の費用の扱い
坪単価が住宅設備の内容によって変化するのは先述の通りです。仮に30坪3,000万円で家を建てた場合の坪単価は100万円ですが、もしこれに太陽光発電パネルを300万円かけて設置したら、建物の広さはそのままに費用の合計は3,300万円となるので、坪単価は110万円になるわけです。そういったことを考慮しても、坪単価だけではなく、建物の建築にかかる費用をすべて含めて比較検討する必要があるでしょう。
・ハウスメーカーによる坪単価の基準の違い
ここまでの説明で気づいた人が多いかもしれませんが、坪単価には一律の基準がなく、住宅会社によって坪単価の捉え方が違います。先述のベランダの床面積の以外にも、照明器具・エアコンなどの住宅設備が坪単価に含まれているかどうかも違います。
以上のことからも、坪単価だけで住宅会社を比較するのは非常に難しいのです。坪単価はあくまで判断材料の中の一つとして捉えるようにしましょう。
予算を決めるタイミング
また、家づくりをスムーズに進めるためには、最初の段階で予算の上限額を決めておく方が無難です。事前に予算を決めておくことで、その予算に見合った住宅会社を選びやすくなるためです。
出典:ホームズ
設計事務所に依頼する場合は?
このコラムを読んでいる人の中には、ハウスメーカーや工務店だけではなく、設計事務所と一緒にマイホームを作ることも視野に入れて家づくりを検討している人も少なからずいらっしゃることでしょう。
ここからは、設計事務所に依頼するとしたらという視点からも見ていきます。
建築設計事務所に依頼する場合の費用
・「設計料」について
建築設計事務所に依頼する場合、ハウスメーカーのように規格が決まっている「商品」を購入するわけではなく、ゼロから建て主の希望に沿ったプランやデザインを考えていくため、建築家の設計に対して「設計料」というお金を払うことになります。
その費用相場は工事費用の約10〜20%程度になるケースが多いです。
例えば4,000万円の工事費が掛かる建物の設計を依頼した場合、設計費用が10%とすると400万円、20%ですと800万円となります。
ただし、ハウスメーカーと設計事務所ではビジネスモデルが異なっているため、単純に設計料の分だけ住宅が高額になるというわけではなく、過去コラム「『設計事務所』って高い?熊本の工務店が正直に語る『デザイン住宅』の費用と価値」で解説していますので、こちらもご参考にしていただけたらと思います。
参考コラム:「設計事務所」って高い?熊本の工務店が正直に語る「デザイン住宅」の費用と価値
・家づくりのやり方によるコストの違いと、自由度の高さによるコスト調整のしやすさ
ハウスメーカーなどに工事を依頼した場合、材料費や工事費に加えて営業経費なども上乗せされることが一般的です。(ハウスメーカーは広告宣伝費に多くの費用を割くビジネスモデルであり、一般的に建てる建物の費用の約30~50%が広告や営業にかかる経費となるためです。)
これに対し建築設計事務所は、そういったコストが少ない上に、どういう資材を使い、どこの業者に依頼するかも選定することができるため、お金の透明性が高いのも魅力的なポイントといえます。
また、ハウスメーカーのような縛りが少ないので、当初希望していた素材が予算に合わないとなった場合に、代替材を用いることでコストダウンを図ることも可能になります。
設計事務所に依頼する場合の総額の目安
建築する建物の規模にもよりますが、大まかな費用感は主に面積と建物の構造に左右されます。
坪単価について解説した項目の中で、価格に影響を与える要素と同じように考えると分かりやすいと思いますので、設計事務所の建築費を建物の構造別に平均を載せたいと思います。一つの目安としてご覧ください。
・設計事務所の建築費平均(構造別)
建物の構造 坪単価のおおまかな費用相場
鉄筋コンクリート 202.9万円
鉄骨 133.1万円
木造 84.6万円
※社会情勢の変化によって建築材料が高騰したり、建築需要が高まったりした場合、建物の建築にかかる費用も値上がりします。
まとめ
以上、坪単価とはどういうものか、どの程度参考にしてよいのかという解説と、設計事務所と家づくりを考えていらっしゃる場合の予算やコストの考え方についてまとめてみました。これからマイホームづくりを考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。